どれほどエコカーや実用車を導入しようとも、常に市民の不信感を招く根源が公用車知事市長利用範囲のグレーゾーンである。公務と政務、そして私的行事の境界線が極めて曖昧になりやすい政治家の日常活動において、公用車の不正利用疑惑は後を絶たない。
過去に東京都知事が毎週末のように神奈川県湯河原町の別荘へ公用車を走らせていた問題では、「知事は24時間365日が危機管理の責任者であり、移動中も専用車両内で緊急連絡網を確保しておく義務がある」というロジックが展開された。同様の主張は多くの首長が用いる防御策となっている。「災害発生時に直ちに現場指揮を執るための専用車移動」という大義名分を盾にすれば、自宅と私邸の往復や、後援会関係者の冠婚葬祭への参列まで公務の一環として強弁できてしまう構造が存在する。
しかし、各自治体の公用車管理規程ガイドラインにおいて、明確な公用車私的利用基準が定められている場合は厳格な切り分けが求められる。政党の選挙運動、純粋な後援会活動、私的な買い物や飲食に伴う送迎は完全に公務外とみなされ、本来であれば私費によるタクシーやマイカー移動で賄わなければならない。グレーゾーンを排除するために一部の進歩的な自治体では、移動の主目的が政務や私事である場合、その区間の走行距離に応じてガソリン代や運行経費相当額を首長個人が自治体へ返還納付するルールを義務付けているが、全国的な普及には程遠いのが現状である。