世界的な批判を浴びながらも、なぜ中国では長年にわたりパクリキャラクターが生み出され続けたのでしょうか。そこには単なるモラルの欠如では片付けられない、中国特有の経済構造と法制度の歪みが絡み合っています。
第1の要因は、圧倒的な市場規模と「スピード至上主義」です。14億人を超える巨大市場において、すでに他国でヒットが証明されたコンセプトを即座にローカライズして展開することは、最も手っ取り早く巨額の利益を上げるビジネスモデルでした。「0から1を作るより、1を100にするスピードが勝敗を分ける」という投資熱狂が、模倣への心理的ハードルを極端に下げていたのです。
第2の要因は、「先願主義」を悪用した商標登録問題です。中国の商標法は、先に商標を出願・登録した者が権利を得る「先願主義」を原則としています。これを悪用し、海外の有名ブランドや人気アニメの名称、キャラクター造形をあらかじめ中国国内で抜け駆け出願する悪質なブローカーが横行しました。その結果、本家企業が中国市場に進出する際、自社キャラクターの名前が使えない、あるいは逆訴訟を起こされるという理不尽な事態が頻発しました。
第3の要因は、地方保護主義と司法の実効性の低さでした。かつての地方都市では、地元の雇用や税収を支える模倣業者を地元当局が黙認・保護する傾向が見られました。仮に権利元が裁判を起こしても、結審までに数年を要し、認められる損害賠償額も微々たるものだったため、「罰金を払ってでもパクり続けたほうが儲かる」という悪循環が成立していたのです。