SNSや知恵袋などのコミュニティでは、「海外通販で住所を適当に逆順入力したら届かなかった」「1ヶ月以上トラッキングが止まったまま返送された」という悲鳴が日常的に投稿されています。なぜ単なる並べ替えだけでは事故が起きるのでしょうか。
越境ロジスティクスの構造を分解すると、海外発送で届かない理由の本質は「誰がその住所を読むのか」というプロセスの断絶にあります。荷物が海外の発送国を出国し、日本国内の通関を通過するまでの段階で海外キャリアが必要とする情報は、極論すれば「Country: JAPAN」の1点のみです。日本に到着した後のハンドリングは、すべて日本の郵便局や国内配送パートナーの配達員に委ねられます。
現場の配送ドライバーが直面する最大の障害は、過剰に英語化された建物名や地名です。例えば「緑ヶ丘マンション」を「Green Hill Mansion」と英訳してしまったり、「富士見町」を「Fuji View Town」と直訳したりすると、国内の配送端末や配達員の目視確認で一致する物件が存在せず、宛先不明(Undeliverable as Addressed)として処理されてしまいます。国際配送の住所表記におけるアルファベットは、英語圏の人々に意味を伝えるためのものではなく、「日本の配達員がローマ字読みして元の日本語住所を再現できること」が唯一にして絶対の目的なのです。