長年にわたり「華奢な顎を持った死肉漁り(スカベンジャー)」と見なされることもあったディロフォサウルスですが、近年の徹底した全身骨格の再調査により、その評価は180度塗り替えられました。ジュラ紀前期(約1億9300万年前)の北米大陸において、当時の生態系の頂点に君臨する俊敏で獰猛な「最強の大型ハンター」であったことが判明しています。
特に決定打となったのが、古生物学者アダム・マーシュ博士(Dr. Adam Marsh)らが発表した包括的な再記載論文です。それまで破損や変形により正確に把握できていなかった幼体と成体の標本をデジタル再構築した結果、骨格の頑丈さと筋組織の結合部が劇的に見直されました。下顎はこれまでの想定よりも遥かに分厚く、強大な筋肉が咬合力を支えていたことが科学的に証明されたのです。
ディロフォサウルスの実物は、車一台を軽々と上回る巨躯を持ち、当時の北米大陸ナバホ・ネイション一帯で他の追随を許さない陸上最大の肉食恐竜でした。映画のように車内へ潜り込んでネドリーをもてあそぶような愛玩サイズではなく、遭遇した瞬間に一撃で人間を仕留める圧倒的プレデターだったのです。