2004年夏、メディアを取り巻く環境は大きな節目を迎えていた。キー局であるフジテレビジョンが制作した特別番組『FNS27時間テレビ』の枠内で放送された報道コーナーにおいて、ある街角インタビューが社会に強烈なインパクトを与える。若者の就労問題や「ニート」の増加に焦点を当てた特集の中で、インタビューに応じた無職の青年が言い放ったセリフこそが、「働いたら負けかなと思ってる」という名言だった。
番組放送直後、画像掲示板の「5ちゃんねる」を中心にそのスナップショットが爆発的な勢いで拡散された。青年の独特な風貌と挑発的な笑顔、そしてあまりにもストレートなセリフは、瞬く間に日本を代表するネットミームへと成長を遂げる。当時の大手メディアはこれを労働倫理の欠如や若者の怠慢としてセンセーショナルに報じたが、ネットコミュニティではむしろその身も蓋もない全否定の姿勢に奇妙な爽快感を覚える人々が続出した。