自衛隊の組織ピラミッドにおいて、定年まで勤め上げる「曹・幹部」と、数年単位の任期で雇用される「士」の間には、退職金制度において決定的な断絶が存在します。自衛官任期満了手当相場は、陸上自衛隊であれば1任期(2年間)の満了で約60万〜90万円、2任期(4年間)満了時で累計約150万〜200万円が支給されます。海上・航空自衛隊の場合は第1任期が3年間となるため金額の刻みが異なりますが、通算の支給水準は同等です。
部隊の最前線で過酷な訓練に従事する任期制隊員にとって、この満了金は民間企業における「退職金」と「賞与」の中間的な性質を持ちます。多くの隊員が曹への昇任試験(曹候補生・一般曹候補生等)を目指すものの、選抜の倍率は高く、昇任できずに任期満了で除隊を選ぶケースも少なくありません。
キャリアの出口において、生涯勤続で数千万円の退職手当と給付金を得る曹・幹部と、20代半ばで数百万円の一時金を手にして民間へ出る任期制隊員。防衛省内部におけるこの経済的格差は、隊員の定着率や採用活動における根深い構造的課題となっています。