旭川近郊の温泉事情を語るうえで、長年ファンの間で議論が絶えないのが天人峡温泉の現状と再開の真相です。かつて忠別川の深い峡谷に大型ホテルが立ち並び、落差270メートルを誇る名瀑「羽衣の滝」への観光拠点として賑わった天人峡ですが、主要ホテルの閉館や土砂災害による一時的な孤立など、数多くの苦難に見舞われてきました。
インターネット上では「完全に廃墟化して立ち入れないのではないか」「日帰り入浴は全滅したのか」といった噂が散見されます。関係自治体の公表資料および現地取材の状況を照合すると、老朽化した旧「天人閣」の解体事業が進められ、周辺の景観再生と自然公園としての再整備計画が段階的に進行しています。一部の小規模宿で日帰り入浴の営業が継続・模索されている局面はあるものの、かつてのような大規模歓楽街としての温泉地ではなく、静寂に包まれた秘境探訪地へとフェーズが移行しています。安易な気持ちで向かうと営業休止に直面するリスクが高いため、正確な情報把握が欠かせません。
そうした秘湯の変遷がある一方で、日常使いの旅行者から強い支持を獲得しているのが旭川近郊の穴場温泉が人気の理由です。東川町、比布町、当麻町といった旭川に隣接する自治体には、町営や第三セクターが運営に関わる清潔な温泉施設が点在しています。派手な観光看板を掲げていないものの、大人500〜600円台という良心的な価格設定、地元農産物を使った手頃で美味しい食堂、そして何よりも地元客のマナーが行き届いた落ち着いた空間が保たれており、「観光地の喧騒に疲れたくない」という層にとっての最適な隠れ家として機能しています。