懸賞金の獲得数は、まさにその時代を統べる横綱の強さと人気のバロメーターだ。歴代最多の懸賞金を獲得した伝説の存在といえば、第69代横綱の白鵬翔である。通算で獲得した懸賞金の数は実に数千本にのぼり、1場所で獲得した最高本数でも前人未到の記録を打ち立てた。結びの一番に集中する懸賞旗の群れを背に、全勝優勝へとひた走る姿は圧倒的だった。
そして平成から令和の土俵を力強く支え、劇的な復活劇でファンを熱狂させた第73代横綱・照ノ富士春雄もまた、数多くの懸賞金をさらっていった一人だ。怪我と病を乗り越えて横綱の座へ登りつめ、ライバルたちとの一番で何十本もの懸賞旗を背負って勝利を掴む姿は、見る者の心を揺さぶった。土俵上で熨斗袋の束を力強く手渡される瞬間は、実力派横綱だけに許された最高の栄誉である。