高畑充希の名を舞台関係者の間に深く刻み込んだのは、歴史あるブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』での奮闘だった。2007年から6年間にわたり、8代目ピーター・パンとして主演を務め上げた。フライングや激しいアクション、そして圧倒的な歌唱力を要求される過酷なステージを、毎年夏ごとに数十公演こなす日々。そこには、現在の映像作品で見せる繊細な表情作りの基礎となった、力強い発声と全身での表現技術が詰め込まれていた。
単なる子供向けのエンターテインメントにとどまらず、本格的な舞台演劇の現場で揉まれた経験は、彼女に「生のお客さんを前にして逃げ場のない緊張感」を叩き込んだ。舞台の上でトラブルが起きても即座に対応する度胸や、どんな過酷なスケジュールでも喉と体をケアし続けるプロ意識は、まさにこのピーター・パン時代に強固に鍛え上げられたのである。