成嶋の存在を語る上で欠かせないのが、食に対する徹底した探求心だ。彼女は単に「栄養バランスが良い料理」を作るのではない。夫の登板間隔、疲労度、その日の気温や本人の心理状態までを計算に入れ、皿の上に落とし込んでいく。その専門知識を裏付けるのが、自ら取得したアスリートフードマイスターの資格だ。
彼女が上梓したレシピ本『前田家の食卓。〜食べて体に効くレシピ〜』は、スポーツ界のみならず一般家庭の食卓にも大きな衝撃を与えた。プロの厳しい体を守る知恵でありながら、決して敷居が高くない。彩り豊かで、見ているだけで活力が湧くメニューの数々。彼女にとって料理とは単なる家事ではなく、戦友への手紙であり、自らを表現する創作活動そのものなのだ。