いまや確固たる地位を築いた味よしだが、その出発点は冷たい夜風が吹き抜ける路地裏の屋台一台だった。初代創業者は、戦後の混乱期に手に入った限られた食材を用い、「一杯で心も身体も温まる至高の麺料理」を求めて試行錯誤を繰り返したという。スープが濁ればすべて廃棄し、納得がいくまで何日も店を開けないことも珍しくなかった。
妥協を排した姿勢は、やがて夜勤明けの労働者や学生たちの間で評判となり、行列は夜ごと長くなっていった。組織化が進み株式会社味よしとして法人格を整えた現在も、創業当時の泥臭い情熱は全スタッフへ脈々と受け継がれている。単に規模を拡大するのではなく、手仕事の魂をいかに現場に残すか。その葛藤の歴史こそが、ブランドの圧倒的な信頼性を形作っている。