日本の菓子文化において最高峰の誉れ高い「日本三名菓」。その筆頭として挙げられるのが、森八の代名詞ともいえる落雁「長生殿」だ。四国徳島産の阿波和三盆糖と、厳選された北陸産の糯米を主原料とし、創業当時から変わらぬ製法で一つひとつ丁寧に型押しされる。
口に含んだ瞬間に解けるような滑らかな口どけと、上品でコクのある甘み。この至高の食感を支えているのが、伝統の木型である。長生殿の表面に浮かび上がる文字は、加賀藩主の前田利常直筆の書を型取ったものと伝えられる。木型彫刻師の緻密な職人技によって削り出された木型は、まさに工芸品そのものだ。現在では再現困難とされる貴重な木型の数々は、店舗併設の美術館にも保管され、和菓子作りの歴史的価値を物語っている。