大衆の関心を集める一方で、エンタメ市場には古くから根強い誤解が存在します。「誰もが知る有名CMに出演すれば、その後の芸能生活は一生安泰であり、すぐにドラマの主役に抜擢される」という思い込みです。ブレイク女優 CMきっかけという言葉が独り歩きしがちですが、現実はそれほど単純ではありません。
第1の盲点は、CM契約特有の「競合縛り」と「イメージ固定のリスク」です。清涼飲料水や大手金融機関の年間契約を結ぶと、同業他社の広告はもちろん、私生活のSNS発信や、出演する映像作品の役柄(極端な悪役や反社会的キャラクターなど)に厳しい制約が課されるケースが少なくありません。爽やかで清潔なイメージが強固に定着しすぎた結果、泥臭い演技が求められる本格映画へのステップアップで苦しむタレントは過去にも数多く存在しました。
第2の盲点は、単発(クール契約)起用と年間イメージキャラクターの決定的な違いです。1クール(3ヶ月)限定のテストマーケティングとして起用された場合、ネット上で「あの美女は誰?」と盛り上がったとしても、企業側の次期戦略次第では即座に別タレントへ刷新されるシビアな生存競争があります。CM出演を真の跳ね台にするためには、契約期間中にどれだけ映画や連続ドラマのキャスティング権を持つプロデューサー陣へ実力をアピールできるかという、事務所側の緻密な政治力と戦略的マネジメントが不可欠となります。