前田投手が日本球界からMLB(メジャーリーグベースボール)へ挑戦した際、最も懸念されたのが「食生活とコンディション維持」でした。アメリカ特有の移動距離の長さ、時差、そして高カロリー・高脂質に偏りがちな食環境の中で、成嶋早穂が発揮した能力は球界関係者を唸らせるものでした。
彼女は結婚当初に民間資格であるアスリートフードマイスターを取得。単に栄養学の教科書通りに作るのではなく、夫の登板前日、当日、登板後の疲労回復期に合わせてPFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物)を綿密に調整する手法を確立しました。2014年には自らの実践レシピをまとめた書籍『前田家の食卓。〜食べて体に効く魔法のレシピ〜』を上梓し、ベストセラーを記録しています。
メジャー生活における料理の難しさは、日本と同じ調味料や鮮魚が容易に手に入らない点にあります。ロサンゼルス、ミネソタ、デトロイトと移籍に伴い環境が変わる中、現地のオーガニックスーパーを巡り、素材の味を活かした和食を再現し続けた彼女の忍耐力は並大抵のものではありません。「夫に胃袋のストレスを一切感じさせない」という強いプロ意識が、数々の完封勝利やシーズンを通じた登板を支えてきたのです。