人間関係のトラブルにおいて、ネット上で頻繁に見られるアドバイスに「相手が納得するまで徹底的に話し合い、誠心誠意謝罪すべきだ」というものがあります。相手を気遣う良識的な人ほど、過去のことを蒸し返されるたびに「自分の謝り方が足りなかったのかもしれない」と反省し、頭を下げてしまいがちです。
しかし、これは極めて危険な盲点です。モラハラ 過去の掘り返しを行う人物に対して際限のない謝罪を繰り返すことは、事態を好転させるどころか、相手の加害性を増長させる結果につながります。
彼らが過去を持ち出す真の目的は、事実の確認や正式な謝罪ではなく、「過去を持ち出せば相手が罪悪感を抱き、自分の言いなりになる」という成功体験を得ることにあります。一度でも謝罪によって相手の機嫌を取ろうとすると、脳内では「過去のカードを使えば相手をコントロールできる」という学習が成立してしまいます。その結果、何か気に入らないことがあるたびに過去の過ちを引っ張り出す悪循環が固定化してしまうのです。
臨床心理学的な観点から言えば、過去の問題について一度合意形成や謝罪を完了している場合、それ以上の謝罪を重ねる必要はありません。相手の「感情の優位性」を認めるようなリアクションを断ち切ることこそが、負の連鎖を止める唯一の手段です。