植物学上の違いに着目した場合も、基準となるのは「木か草か」という構造上の差異です。木質化して年輪を形成する木本植物から実るリンゴ、ミカン、ブドウ、モモなどは学術的にも疑いようのない果実(果物)ですが、木質化しない柔らかい茎を持つ草本植物に実を結ぶスイカは、植物学的には実を食用とする果菜類(トマトやキュウリと同種別)に該当します。
ところが、国が発行する公的データの中でも省庁間で扱いが異なっています。消費者の健康管理や学校給食、医療現場の栄養指導で指標となる文部科学省の『日本食品標準成分表』を開くと、スイカは「野菜類」ではなく堂々と「果実類」の項目に掲載されています。
この分類の違いが生じる最大の理由は、管轄機関の目的の違いにあります。
- 農林水産省:「どう育てるか(生産・流通管理)」を重視するため、栽培サイクルに基づき野菜と定義。
- 文部科学省・厚生労働省:「どう食べるか(栄養摂取・食生活)」を重視するため、糖分を含み生食デザートとして摂取される実態から果実類と定義。
厚生労働省と農林水産省が共同で策定した『食事バランスガイド』においても、1日の推奨摂取量(200g)を計算する際、スイカは「果物グループ」にカウントされています。行政機関の間でも目的や文脈に応じて定義が使い分けられているのが実情です。