歴史学の視点からそのルーツを探ると、単なる地理的名称にとどまらない武士団の影が浮かび上がってくる。特に知られているのが、中世の肥後国(現在の熊本県球磨郡付近)を拠点とした武将・上村氏の存在だ。相良氏の庶流として勢力を振るったこの一族は、戦国時代の動乱を経て各地へと拡散した。
さらに南へ下ると、薩摩藩の領内でも行政単位や地名に由来する「上村」姓が数多く誕生している。薩摩特有の「門割(かどわり)制度」によって土地の名称がそのまま農民や郷士の苗字として定着した事例も少なくない。地形的に川の上流や集落の上方を指す「上の村」が起源となるケースも多く、武家由来と地名由来が複雑に交錯している点が面白い。