物語の主役は、標高8,000メートル級の山々を越えて南へ渡るアネハヅルの群れです。主人公の「クルル」は、若く力にあふれ、群れの先頭に立って風を切り裂いて飛ぶことに強い誇りを持っていました。一方、幼なじみの「カララ」は、過去の怪我によってつばさを痛めており、飛ぶ速さや力強さに引け目を感じていました。
ある夜、群れをキツネの襲撃が襲います。警戒を怠っていた群れは大混乱に陥り、カララが危険を知らせる声をあげたものの、群れの仲間たちは「カララのせいで敵に見つかった」「カララが群れを危険にさらした」と一方的な疑いをかけます。集団のパニックが生んだ理不尽な怒りはカララへと集中し、彼は群れの中で完全に孤立してしまいました。
やがて迎えたヒマラヤ越えの出発の時、群れは弱者を待つことなく飛び立ちます。傷ついたつばさで必死に追うカララ。群れの先頭を飛べる実力を持つクルルは、集団の空気に流されてカララを見捨てるべきか、友を信じて寄り添うべきかの激しい葛藤に直面します。
物語のクライマックスで、クルルは群れの先頭を離れ、最後尾で力尽きそうになっているカララの元へと舞い降ります。向かい風をまともに受ける位置に自らの身体を置き、カララの風よけとなって一緒に羽ばたく決断を下したのです。群れから離脱するリスクを背負いながらも、2羽のつばさは呼吸を合わせ、過酷な雪山を共に越えていきます。