日本茶は、枯れた伝統文化ではない。むしろ世界で最もアヴァンギャルドな嗜好品へと進化を遂げている。その最前線を牽引するのが、櫻井焙茶研究所が提示する体験型のアプローチだ。
ここでは、全国の茶農家から選び抜かれたシングルオリジンの茶葉が、ミリ単位の湯温や抽出時間、さらには水質との相性まで緻密に計算されて供される。ファーストフラッシュの新茶が持つ若草のような瑞々しさ、極限まで旨味を引き出した玉露のとろりとした舌触り、そしてその場で焙じられる茶葉の爆発的なアロマ。舌の上で繰り広げられる味わいのグラデーションは、これまでの「緑茶」の概念を根底から覆す。
何より圧巻なのは、ゲストの目の前で行われるカスタムローストだ。茶葉が熱せられ、緑から琥珀色へと表情を変えていくわずか数分のドラマ。立ち上る香気は空間を満たし、飲む前から脳を覚醒させる。2026年という現代において、これほど贅沢な時間の使い方が他にあるだろうか。