反日や対外戦争をテーマにしたプロパガンダ映画が途切れることなく作られる背景には、極めて実利的な理由が存在する。中国のエンタメ業界を統括する中国共産党中央宣伝部と国家電影局の強烈な意向だ。厳しい検閲体制が敷かれる中国映画産業において、国家公認の歴史物・戦争物は「政治的リスクが極めて低い安全な投資先」なのである。
興行収入のノルマ、学校や国有企業による団体鑑賞の動員力、そしてスクリーン割り当ての優遇措置。映画会社にとって、これほど計算の立つビジネスモデルは他にない。最新の制作現場では、あからさまな日本批判一辺倒から、サスペンスや人間ドラマを巧みに織り交ぜた緻密なスパイアクションへとトレンドが移行している。洗練された脚本と映像美で観客を没入させる手口は、年々高度化の一途をたどる。