この8文字の起源を探ると、日本の祭祀の根幹に突き当たります。歴史的にこの言霊は、古代から宮中祭祀の要職を担ってきた花山源氏・白川伯家神道(しらかわはっけしんとう)において、門外不出の宮中祭祀秘儀として極秘裏に口伝されてきた歴史を持ちます。天皇の身霊を清め、国家の安寧を祈るための最上級の神拝詞として用いられてきた事実が、その神聖さを物語っています。
「とほかみえみため意味」を紐解くには、二つの主要な漢字表記と解釈を理解する必要があります。
第一の表記は「遠神恵美為」です。これは「遠津御祖神(とおつみおやのかみ)、恵みたまえ、幸(さきわ)ひたまへ」という祈りの約意と解釈されます。遠津御祖神とは、父母、祖父母、さらに遡る遠大な命の連鎖の頂点に座すご先祖様であり、自分を生み出してくれた根源の神々を指します。つまり「大いなるご先祖の神々よ、どうか私たちに微笑み、恩恵をお授けください」という、原初的な感謝の祈りです。
第二の表記は、古代の亀卜(きぼく:亀甲占い)に由来する「吐普加美依身多女」です。太占(ふとまに)において甲羅に刻まれる東西南北と四隅、すなわち八つの方位と宇宙の運行を司る八神(吐普加美依身多女の八神)を召喚し、空間の全方位を瞬時に清浄な結界へと変える言霊とされています。
神社界で日常的に奏上される「三種祓詞(さんしゅのはらえことば)」の冒頭にもこの言葉が据えられており、一切の罪・穢れ・過ちを根源から祓い去る最強の祝詞として定着しています。外側の神に欲望をぶつけるのではなく、自らの内なる神性と先祖の命のつながりを思い出すことこそが、この言霊の真意です。