「一晩中耳栓をつけて眠ると耳が腐る」「難聴になるのではないか」という極端な言説がSNS上で散見されます。しかし、耳鼻咽喉科の臨床現場から報告されている睡眠時耳栓危険性の真相は、音圧遮断そのものではなく耳道内の「湿度」と「摩擦」にあります。
医療関係者の警告や症例報告によると、就寝時に耳栓を使用する最大の身体的デメリットは外耳炎および外耳道真菌症(カビの繁殖)の発症リスクです。ヒトの耳道は通常、適度な通気性を保つことで自浄作用を維持しています。しかし、6〜8時間連続で耳栓を奥深くまで装填すると、耳道内が密閉され蒸れが生じます。この高温多湿の環境が細菌や真菌の絶好の温床となるのです。
特に「毎日同じウレタン製耳栓を数ヶ月間洗わずに使い回している」「お風呂上がりに耳の中が湿ったまま耳栓を押し込んでいる」というケースでは、外耳道がただれて激痛が走ったり、悪臭を伴う分泌物が生じたりして耳鼻科へ駆け込む利用者が後を絶ちません。また、耳栓によって耳垢が奥の鼓膜付近へ押し込まれ、耳垢塞栓(じこうそくせん)による一時的な聴力低下や閉塞感を引き起こす事例も報告されています。睡眠時耳栓中耳炎リスクについては、鼓膜に穴が開いていない限り直接外耳から中耳へ菌が侵入する可能性は極めて低いものの、外耳炎の炎症が悪化して波及する恐れがあるため油断は禁物です。耳にかゆみや違和感を感じた段階で使用を即時中断することが、耳の健康を守る絶対条件となります。