どれほど休息を取っても抜けない目の奥の痛み理由を突き詰めると、解剖学的に首の深層にある4対(計8個)の筋肉、すなわち「大後頭直筋」「小後頭直筋」「上頭斜筋」「下頭斜筋」からなる後頭下筋群に行き着きます。この部位は、頭蓋骨の後頭骨と第1頸椎(環椎)・第2頸椎(軸椎)を精密につなぎ止める、いわば「頭部の精密スタビライザー」です。
後頭下筋群の最大の特徴は、全身の骨格筋の中でも群を抜いて「筋紡錘(筋肉の伸び縮みを感知するセンサー)」の密度が高い点にあります。一般的な筋肉では筋湿重量1グラムあたり数個から数十個程度ですが、後頭下筋群には1グラムあたり100個〜200個以上もの筋紡錘が密集しています。これは、人間が視界を水平に保ち、網膜に像を正確に結ぶために、眼球の動きと首の角度をミリ秒単位で協調させているためです。
スマートフォンの画面を一点凝視する際、眼球を動かす外眼筋の緊張は反射的に後頭下筋群へとダイレクトに伝達されます(眼球頭反射)。さらに頭部が前方へ突き出る「ストレートネック」姿勢が加わると、ボーリングの球(約5〜6キロ)に相当する頭部を支え続けるため、後頭下筋群は常に過収縮を起こします。
この持続的な過緊張こそが、頭部を帯状に締め付ける緊張型頭痛原因の核心です。筋肉のスパズム(持続的な痙攣状態)によって局所の血流が途絶え、ブラジキニンなどの発痛物質が蓄積します。同時に、この筋肉の隙間を縫うように頭頂部へと走行する「大後頭神経」が物理的に締め上げられることで、ピリピリとした電撃痛や放散痛を伴う後頭神経痛症状が引き起こされ、三叉神経節を介して「目の奥の激痛」として脳に知覚されるのです。