タイの首都が世界的に特異とされる最大の理由は、儀礼用として定められた儀仗称号(フルネーム)の規格外の長さにあります。アルファベット表記でスペースを含めると169文字、タイ語の文字数でも139文字に達し、「世界で最も長い場所の名前(Longest place name)」としてギネス世界記録に認定されています。
その正式名称のタイ語発音(ローマ字転写)は以下の通りです。
Krungthepmahanakhon Amonrattanakosin Mahintharayutthaya Mahadilokphop Noppharatratchathaniburirom Udomratchaniwetmahasathan Amonphimanawatansathit Sakkathattiyawitsanukamprasit
(クルンテープマハナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロックポップ・ノッパラットラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーンアワターンサティット・サッカタッティヤウィッサヌカムプラシット)
この長大な名前は単なる語列ではなく、古代インドの古典言語であるサンスクリット語とパーリ語を基盤とした詩的かつ神聖な祝詞となっています。その意味を日本語に直訳すると、次のような壮麗な賛美文が浮かび上がります。
「インドラ神が下され、ヴィシュヌカルマン神が建てられた、神聖なるエメラルド仏が宿る、インドラ神の不滅の都。偉大な九つの宝石に満ち、壮大な王宮と数々の宮殿が輝く、転生した神が住まう天上の住処のような偉大なる都」
現地の人々は、この長大な名称の冒頭部分を取って「クルンテープ(神々の都・天使の都)」と日常的に呼称しています。日本で例えるならば、東京都を「東京」と呼ぶのと同じ感覚で、タイ国内の道路標識やニュース番組、公的機関の案内板には「クルンテープ(Krung Thep)」または「クルンテープマハナコーン」が常用されています。