デバイスごとのハードウェア仕様の違いを把握しておくことも重要です。AppleのiPhoneシリーズとGoogleのAndroid陣営では、温度に対する設計思想が異なります。
歴代のiPhoneシリーズには、外気温度を測定するための専用環境センサーは一切搭載されていません。iPhoneの設計上、完全密閉された防水・防塵ボディの内部に外気用センサーを配置しても、CPU(Aシリーズ/Mシリーズチップ)の排熱に晒されて正確な外気測定ができないためです。したがって、App Storeで「iPhoneで室温が測れる」と謳う単体アプリは、例外なく気象APIのデータか端末内部ステータスを加工して表示しているに過ぎません。
一方、Android端末においては、Google Pixel 8 Pro以降の上位モデルのように背面カメラ横に赤外線温度センサーを搭載した特殊な機種が存在します。これらは対象物の表面温度(ミルクの温度やフライパンの熱など)を測定できる画期的な機能ですが、「空間全体の空気温度(室温)」を常時測定する用途には設計されていません。また、一般的なAndroid端末に搭載されているセンサーも大半は基板監視用であり、部屋の温度をそのまま拾い上げることは物理的に不可能です。