手作りカスタードクリームで最も多い失敗が「ダマ(粒状の塊)」の発生です。この現象は腕の良し悪しではなく、デンプンの糊化(α化)と卵の熱凝固温度のズレという物理的な要因によって引き起こされます。
卵黄が固まり始める温度はおよそ65℃〜70℃ですが、小麦粉に含まれるデンプンがとろみを持ち始める糊化温度は約80℃〜85℃です。この温度帯を一気に撹拌しながら通過させないと、外側だけが先に固まり、中心部に火の通っていない粉の塊が残ってしまいます。
失敗をゼロにするための現場テクニックは以下の3ステップです。
- 粉と砂糖を乾いた状態で完全に混ぜ合わせる:砂糖の粒子が小麦粉の周りに介在することで、液体を加えた際のママコ(粉ダマ)形成を防ぎます。
- 温めた牛乳を少量ずつ注ぎ入れる:冷たい牛乳を一気に入れると温度が下がり、均一な分散が妨げられます。約50〜60℃に温めた牛乳を2〜3回に分けて注ぎます。
- 鍋肌をこする「8の字」撹拌:木べらではなく耐熱ゴムベラまたは泡立て器を使用し、熱伝導の強い鍋底の角を常に削り取るように動かし続けます。