かつての現場を知る関係者ほど、現在の教室内で起きている光景に目を見張る。地域の農家から受け継がれた職人技的な勘や経験則が、数字とグラフへと可視化されているのだ。広島県立西条農業高等学校をはじめとする全国の拠点校では、実習のやり方そのものが根底から見直された。
放課後の農場で生徒たちが議論しているのは、明日の水やり作業の分担だけではない。土壌水分の遷移データや日照予測を分析し、最適な自動灌水ラインのアルゴリズムをチューニングする。失敗も多い。だが、その試行錯誤こそが現場の知恵となり、たくましい観察眼を養っていく。伝統を守るためにこそ、伝統ある農業教育のスタイルを変えなければならない。そんな強い意志が現場の空気をつくっている。