詳細な画像診断や聴力検査を行っても明らかな器質的異常が見当たらないにもかかわらず、耐え難い耳鳴りに苛まれる患者は少なくない。その背景に横たわっているのが、過剰な精神的緊張や睡眠不足によって誘発される「自律神経失調症」だ。
厚生労働省の労働環境調査などでも示唆されている通り、現代人の多くは交感神経が過剰に優位な状態に晒されている。交感神経の緊張は末梢血管を急激に収縮させ、内耳への酸素供給を阻害すると同時に、首や顎周辺の筋肉を硬直させて中耳の耳小骨筋に痙攣性の異常収縮をもたらす。さらに脳の視床下部における音のフィルタリング機能が破綻し、健常時であれば無意識下に遮断されるはずの生体内ノイズを大脳皮質が過敏に拾い上げてしまう現象が起きている。