1990年代半ば、雑誌のページをめくると、他の誰とも異なる空気をまとったひとりの少女がいた。当時、グラビアアイドルの世界は派手な演出やセクシー路線が花盛りだったが、彼女のアプローチはまったく異質だった。飾らない水着姿の奥に見える理知的な眼差しや、飾らない素肌の質感。媚びることのない自然体のカットは、同性からの支持も急速に集めていく。
その魅力が一気に全国区へと解き放たれた決定打が、コカ・コーラ『爽健美茶 CM』への抜擢だった。緑豊かな大自然の中で、風に髪をなびかせながら微笑む姿は、いわゆる「癒やし系」という社会現象の決定的なシンボルとなった。当時の撮影現場では、作り込まれた芝居ではなく、彼女が本来持っている飾らない所作や呼吸そのものがフィルムに焼き付けられたという。過密なスケジュールに追われながらも、現場のスタッフ一人ひとりに丁寧に向き合っていたというエピソードは、彼女が単なる流行のアイコンにとどまらなかった理由を物語っている。