大富豪をプレイするなかで最も後味の悪い結末として挙げられるのが、「最後に2やジョーカーを出しての一抜け」です。多くの地域ルールにおいて、「2上がり禁止」「ジョーカー上がり禁止」「8上がり禁止」、さらには「スペ3上がり禁止」といった禁止上がり規定が設けられていますが、これには極めて明確なゲームデザイン上の必然性があります。
トランプの通常進行において、「2」や「ジョーカー」は他プレイヤーを無条件でシャットアウトできる最強のカードです。もしこれらを持ったまま最後に上がる行為を容認してしまうと、プレイヤーは「最強札を最後まで1枚温存するだけ」で勝率を跳ね上げることが可能になります。この場合、手札を減らす過程での駆け引きやパスの応酬、相手の持ち札を読む心理戦がすべて無意味化し、単に「強い札を配られた者がノーリスクで逃げ切るだけのゲーム」に成り下がってしまいます。
8上がりについても同様の構造が働きます。8を切った瞬間に場が流れて自分の手番が確定するため、最後に8を出して上がれるとすれば、他者が対抗する余地が一切存在しません。一方的な理不尽さを排除し、「いかに強い札を途中の盤面制圧に使い、残りわずかな手札を戦略的に処理するか」という知的パズルを課すために、禁止上がりはゲームバランスの安全弁として機能しているのです。公式競技規約においても、禁止上がりを行ったプレイヤーは即座に「反則負け(最下位・大貧民確定)」のペナルティが科されます。