路地裏に潜む実力派を求め、編集部は独自の足と舌で現場を歩き尽くした。まず押さえるべきは、1,000円札1枚で心地よく酔える「せんべろ」の聖地だ。東京・赤羽や上野、大阪・天満などに根を張る名物店では、朝炊きの大鍋でじっくり煮込まれた牛もつ煮込みと、炭火で香ばしく焼き上げられた豚カシラが今も300円前後で供される。手際よく注がれるキンキンに冷えた生ホッピーを流し込めば、胃袋の底からじわりと熱い多幸感が湧き上がる。
だが、真の呑兵衛たちが熱い視線を送るのは、アルゴリズムの波に晒されていない「SNS掲載お断り」の隠れ家だ。下町の住宅街にひっそりと佇む創業半世紀の小料理屋では、店主自らが毎朝市場で仕入れる朝獲れの白身魚が、破格の小皿でカウンターに並ぶ。派手な映え要素は一切ない。あるのは、長年使い込まれた白木のカウンターの手触りと、丁寧にとられた出汁の香りだけ。こうした店をGoogle マップのクチコミ頼りではなく、自分の勘と暖簾の佇まいだけで見つけ出す瞬間こそ、大人の冒険と呼ぶにふさわしい。