阿蘇の外輪山をなぞるように走るこのルートは、阿蘇五岳を一望できる絶景スポットとして世界中から観光客を引き寄せてきた。しかし、その人気が仇となっている。インバウンド需要の爆発的な増加により、レンタカーの数は激増。特にアジア圏からの旅行者が押し寄せ、静かだった高原の朝はクラクションと排気ガスに包まれるようになった。
「昔は牛の声しか聞こえなかったのに」と、近くで酪農を営む男性はため息をつく。道路脇の芝生に無断で立ち入り、ゴミを投棄するマナー違反も後を絶たない。阿蘇の景観は自然が作ったものではなく、千年以上続く「野焼き」などの人の営みによって維持されてきた。その繊細なエコシステムが、今、限界を迎えつつある。