揺れた。その瞬間、指先はすでに動いている。かつてのように、テレビの速報テロップをじっと待つ人は少なくなった。人々が求めているのは「いま、自分のいる場所が何秒後に、どれだけ揺れるのか」という極めてピンポイントな情報だ。
背景には、ここ数年で劇的に進化した民間のリアルタイム地震解析技術がある。スマートフォンの内蔵センサーや、全国に張り巡らされた民間観測網のデータを統合し、気象庁の発表よりも数秒早く揺れの到達を予測するサービスが登場した。この「情報の民主化」が、人々の防災意識を受動的なものから能動的なものへと変えたのだ。