武装探偵社と対立する組織の面々も、主役級の人気を誇っている。芥川龍之介の執念、森鴎外の冷徹な合理主義、そして世界を揺るがす「天人五衰」のメンバーたち。彼らは単なる「倒されるべき悪」として描かれていない。それぞれに譲れない正義があり、守るべきものがある。
特に芥川が抱く、太宰に認められたいという飢餓感は、時に痛々しいほどだ。悪役側のキャラクターが抱える背景や孤独が丁寧に描写されるため、読者は敵味方の枠を超えて感情移入してしまう。善悪の彼岸で繰り広げられる信念のぶつかり合いが、群像劇としてのクオリティを極限まで高めている。