マグロは半球睡眠をする?止まると死ぬ理由と驚きの睡眠法を解明

マグロは半球睡眠をする?止まると死ぬ理由と驚きの睡眠法を解明

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では、半球睡眠ではないとすれば、マグロは一体どのようにして眠っているのでしょうか。その実態を鮮明に教えてくれるのが、世界で初めてクロマグロの群泳展示に成功した東京都葛西臨海水族園などの大規模飼育施設や、水産研究機関による長期追跡データです。

飼育員や研究者の観察記録によると、昼間のマグロは時速7〜10km程度の巡航速度で水槽内を活発に回遊し、水面に投げ込まれる餌に対して凄まじい瞬発力で反応します。しかし、深夜2時から4時頃の完全な夜間帯になると、その行動パターンは一変します。

夜間のマグロは、遊泳速度を昼間の半分程度(時速3〜4km前後)まで落とし、水槽の一定深度を大きな円を描くように緩慢に周回し続けます。この状態のマグロは、外部からの光や物音に対する反応が著しく鈍くなり、まるで夢遊病のように機械的な遊泳を繰り返します。海洋生物学では、この状態を「遊泳性低代謝睡眠」と位置づけています。

運動生理学的な分析によれば、このときマグロの脳は高次機能を司る部位を大幅にクールダウンさせ、遊泳に必要な筋肉の周期的な収縮運動を「脊髄の中枢パターン生成器(CPG)」と呼ばれる末梢神経ネットワークに委ねている可能性が高いとされています。つまり、大脳で意識的に舵を取るのではなく、「自動操縦モード(脊髄反射)」で体を前進させながら、脳全体を低燃費のアイドリング状態にして疲労を回復させているのです。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。