中島みゆき『麦の唄』が今も魂を揺さぶる理由|マッサン秘話と紅白の真相

中島みゆき『麦の唄』が今も魂を揺さぶる理由|マッサン秘話と紅白の真相

中島みゆき『麦の唄』が今も魂を揺さぶる理由|マッサン秘話と紅白の真相を詳しくリサーチ! 知っておきたい 情報と解説を凝縮して配信します。

2014年秋に放送を開始したNHK連続テレビ小説『マッサン』は、ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝とそのスコットランド人妻・リタをモデルにした本格的な人間ドラマでした。朝ドラ史上初となる外国人ヒロインの起用という前例のない挑戦において、制作統括陣が直面した最大の難題が「誰に主題歌を託すか」という一点でした。

当時の制作関係者の証言や公式インタビュー記録によると、チーフプロデューサーをはじめとする番組スタッフが中島みゆきに白羽の矢を立てた際、局内や一部の関係者からは慎重論も上がっていました。中島みゆきといえば『うらみ・ます』や『わかれうた』に代表される情念深い楽曲群の印象が根強く、「爽やかな朝の食卓に、みゆき節の重厚感はマッチするのか」という懸念が囁かれたためです。しかし、制作陣の熱望は揺らぎませんでした。言葉も文化も異なる異国の地に飛び込み、差別や偏見、戦争という過酷な運命に翻弄されながらも愛を貫いたリタの壮絶な覚悟を描くには、人間の生と死、孤独と愛の深淵を知り尽くした中島みゆきの筆力以外にあり得なかったからです。

オファーを受けた中島みゆき本人は、後にラジオ番組等で「朝ドラの主題歌なんて、私のような夜の住人に頼んで本当に大丈夫なのかしらと驚いた」とユーモアを交えて述懐しています。しかし、ひとたび台本と資料を読み込むと、スコットランドと日本の架け橋となった夫婦の絆、そして過酷な大地で育つ麦の生命力に深く感銘を受け、長年の音楽パートナーであるプロデューサー・瀬尾一三とともに徹底的な音作りへ突入しました。

完成した楽曲は、バグパイプのドローン(持続低音)を想起させる力強いイントロと、スコットランド民謡特有のペンタトニック(5音音階)の哀愁を帯びつつも、最後には大空へと突き抜けるような祝祭感を宿した唯一無二のマスターピースとなりました。ドラマ第1回の放送でその歌声が流れた瞬間、当初の懸念は瞬く間に吹き飛び、日本中がその圧倒的な世界観に息を呑むこととなりました。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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