厨房や家庭で最も意見が分かれるのが、「株とりなめこは調理前に洗うべきか否か」という問題です。ネット上でも「衛生面が心配だからしっかり水洗いする」という声と「洗うと風味が台無しになる」という意見が衝突していますが、食品調理科学の観点から導き出される結論は極めて明快です。
現代の流通に乗る株とりなめこは、衛生管理が徹底された屋内施設(空調管理されたクリーンルーム)の菌床で栽培されているため、基本的に水洗いは不要とされています。水洗いしてしまうと、水溶性のぬめりと一緒に揮発性の芳香成分やアミノ酸が水へ溶け出し、水っぽく締まりのない味になってしまうためです。
プロが現場で実践している株とりなめこ下処理方法の手順は以下の3ステップのみで完結します。
- 根元(石づき)の切断:株の根本にあるおがくずが付着した硬い部分を、包丁で1〜2センチほど切り落とす。
- 手でほぐす:カサを潰さないよう優しく指先を入れ、料理の用途に応じた大きさ(小房)に裂く。
- 拭き取り確認:木くずや培地のかけらが付着している場合のみ、湿らせたキッチンペーパーでピンポイントに拭き取る。
ただし、購入から日数が経過して表面に酸味を帯びたドリップ(水分)が出ている場合や、どうしても衛生面が気になる場合は、ザルに入れてサッと一瞬だけ熱湯を回しかける「湯通し」を行うのがプロの技です。流水でゴシゴシ擦るのとは異なり、表面の余計な雑味だけを洗い流しつつ、食感を損なわずに調理へ移ることができます。