コミックス第24巻225話「百万両の男」。ジャヤの無法地帯モックタウンの酒場で、ベラミー一味から空島という「夢幻」を嘲笑され、一切反撃せずに全身打撲を負ったルフィとゾロ。その直後、酒場の外の路上で酒瓶片手に現れたマーシャル・D・ティーチが放ったのが、少年漫画史に刻まれるこの名セリフでした。
「人の夢は!!! 終わらねェ!!!!」
嘲笑と冷笑が支配する町で、誰よりも純粋に「ロマンを信じる者の矜持」を肯定してみせたのは、海軍でも仲間でもなく、後に最凶の仇敵となる黒ひげでした。続けて吐き捨てた「笑われていけばいいじゃねェか 高みを目指せば 出す拳の見つからねェ喧嘩もあるもんだ!!!!」という一節は、ルフィとゾロがなぜベラミーを殴らなかったのかを誰よりも正確に洞察していた証拠です。
この場面は、読者に「こいつは何者なのか」という強烈な畏怖と知性的魅力を植え付けました。腕力や暴力ではなく、圧倒的な人生観と海賊哲学で場を支配したこの名シーンこそ、黒ひげが単なる俗物的な悪役に留まらない決定的な分水嶺となっています。