ペリカン便の消滅は、単なる一企業のブランド廃止にとどまりません。それは日本の物流業界全体が直面してきた「低運賃と過剰サービス」の限界を象徴する出来事でした。
1990年代から2000年代にかけて繰り広げられた熾烈な値下げ競争は、荷主企業にとっては利便性をもたらしたものの、運送事業者の収益力を著しく削ぎ落としました。日通の撤退によって宅配業界は寡占化が進みましたが、その後もEC市場の爆発的な拡大による「宅配クライシス」や、トラックドライバーの時間外労働上限規制に伴う「物流2024年問題」へと構造的課題は引き継がれています。
ペリカン便の激動の歴史は、持続可能な運賃水準と適正な再配達コストの確保がなぜ重要であるかを、今なお業界全体に問いかけ続けています。