現場を訪れる参拝者が最も圧倒される見どころは、人工のLED照明では決して生み出せない、生火特有のゆらぎと陰影です。
奈良市観光協会の記録によると、東大寺大仏殿の石畳には約2,500基もの灯籠が整然と並べられます。この夜だけの最大の特異点は、大仏殿正面上部にある「観相窓(かんそうまど)」が開扉されることです。普段は堂内に入らなければ拝顔できない盧舎那仏(大仏様)の穏やかなお顔が、中門の外側や参道から夜の闇に浮かび上がって見えます。遠く参道の彼方から合掌する参拝者の波は、毎年数万人規模に達します。
しかし、その荘厳な空気とは裏腹に、現地の万燈会 見どころと混雑状況は過酷を極めます。特に東大寺と春日大社が重なる8月15日の奈良公園周辺は、点灯開始の18時30分から20時30分にかけてピークを迎え、近鉄奈良駅から東大寺参道へ向かう歩道はすれ違いすら困難な状態に陥ります。参道内の入場規制が敷かれる年もあり、大仏殿に入るまでに1時間以上待機するケースも珍しくありません。
一方、参拝に伴う楽しみの一つである万灯会 屋台出店情報については、近年明確な変化が生じています。かつては参道脇にずらりと立ち並んでいた露店ですが、2024年から2026年にかけて文化財保護や参拝導線の安全性確保、ゴミ問題対策を理由に、境内直近での出店が厳しく規制される傾向にあります。奈良公園の登大路自動車駐車場跡地や春日野園地など、指定されたイベントエリアへの集約が進んでいるため、境内はお祭り騒ぎの屋台街ではなく、本来の静謐な祈りの空間へと回帰しつつあります。食べ歩きを目的とする来場者にとっては肩透かしとなる可能性があるため、事前の把握が欠かせません。