眉間のシワ治療を検討する際、真っ先に候補に挙がるのが「ボトックス」と「ヒアルロン酸」です。両者は混同されがちですが、作用機序と適応となるシワの性質はまったく異なります。
シワには大きく分けて2つの段階が存在します。1つ目は、怒ったりスマートフォンを凝視したりした際に皺眉筋(しゅうびきん)や鼻根筋が収縮してできる「動的シワ(表情ジワ)」です。この段階であれば、筋肉の過剰な動きを麻痺させるボトックス注射のみで十分に改善します。
ところが、同じ表情を何年も繰り返していると、真皮層のコラーゲンやエラスチンが物理的に断裂し、無表情のときでも皮膚にクッキリと線が残る「静的シワ(深い刻まれジワ)」へと移行します。この状態のシワは、ボトックスで筋肉の動きをいくら止めても、刻まれた溝そのものが消えることはありません。ここで真価を発揮するのが、皮膚の陥没部位を下から物理的に持ち上げて平坦にするヒアルロン酸注入です。
臨床現場において最も推奨されるのは、眉間ボトックスとヒアルロン酸の併用です。ボトックスで筋肉の動きを封じておかなければ、せっかく注入したヒアルロン酸が毎日の筋肉運動によって押し潰され、周囲へ拡散して吸収が早まってしまいます。両者を組み合わせることで、仕上がりの美しさと持続性が劇的に向上します。