ネット上のQ&Aサイトや一部のまとめ記事には、設備管理の専門家から見て極めて危険なアドバイスが散見されます。その最たるものが「ガス栓が回らない時の対処法としてCRCなどの浸透潤滑油(オイルスプレー)を吹きかける」という誤情報です。
金属ネジを緩める感覚でガス栓の可動部に鉱物油スプレーを噴射すると、栓の内部に組み込まれている耐ガス用特殊グリスが溶解・流出してしまいます。さらに内部のゴムパッキン(Oリング)が油分で膨潤・劣化し、後日栓を閉めていても隙間からガスが漏洩する最悪の故障を引き起こします。もしコックが固着して動かない場合は、スプレー油を差すのではなく、乾いた布を当てて手のひら全体で均等にトルクをかけるか、即座にガス会社へ連絡して無償または低額での点検・交換を依頼してください。
また、作業完了後のガス漏れ防止の安全確認手順を省いてしまうユーザーが多い点も看過できません。作業後は以下の3ステップを必ず遂行してください。
第一に「臭覚による確認」です。都市ガス・プロパンガスには特有の腐臭・玉ねぎが腐ったような付臭剤が混ぜられています。鼻を近づけて少しでも異臭を感じたら、窓を全開にして換気し(換気扇のスイッチは火花が出るため触らない)、元栓に手を触れずガス会社へ通報します。
第二に「気泡テスト(石鹸水点検)」です。石鹸水(台所用洗剤を水で数倍に薄めたもの)を指やハケでコックやノズルの隙間に塗り、シャボン玉のような気泡が膨らんでこないかを目視でチェックします。泡が膨らまなければ完全密閉が維持されています。
第三に「ガスメーター(マイコンメーター)の表示確認」です。全ガス器具が停止している状態でメーターの液晶画面に警告表示(ガス止など)が出ていないか確認することで、宅内配管全体の気密性が担保されているかをデジタルに確認できます。