育児情報誌やWebメディアでは、しばしば「初心者向け大型犬」としてゴールデンやラブラドールが紹介されます。しかし、現場のドッグトレーナーや動物病院の関係者の間では、この表現に対して強い警鐘が鳴らされています。子犬期から3歳前後に至るまでのレトリバー種は、別名「やんちゃの破壊神」と呼ばれるほど莫大なエネルギーを秘めているからです。
「盲導犬のようにおとなしいと思っていたら、室内の壁紙を剥がされ、家具の脚を粉々に噛み砕かれた」という相談は現場で後を絶ちません。体重30kgに達する動物が全力で飛びつけば、成人男性であっても転倒し、骨折などの重傷を負うリスクがあります。すなわち、「素質として温厚であること」と「最初から扱いやすいこと」は同義ではありません。
本当の意味で大型犬の飼育を成功させる初心者の条件とは、犬種の穏やかさに依存する人ではなく、「体格差による事故の危険性を自覚し、プロの訓練士やパピートレーニングを初期段階から頼れる謙虚さを持った人」に他なりません。温厚な性質は、十分な運動による欲求不満の解消と、一貫性のあるルール設定という土台があって初めて開花するのです。