SNSやネット掲示板で定期的に話題にのぼるのが、モラージュ菖蒲閉店の理由を巡る憶測です。「久々に行ったら空き区画が目立っていた」「好きだったアパレル店がなくなっていた」という利用者の生の声が拡散され、あたかもモール全体が衰退しているかのような印象を持つ読者も少なくありません。
しかし、商業施設運営の現場を取材すると、全く異なる力学が働いていることが分かります。日本の大型商業施設では、テナントとデベロッパーの間で5年、10年、15年といった単位の「定期建物賃貸借契約」が結ばれるのが通例です。モラージュ菖蒲が開業したのは2008年。その後も一定周期ごとに大規模な契約満了期を迎えており、その節目において採算性の見直しやブランドの統廃合が必然的に発生します。
特に近年の郊外モール市場では、ファストファッションや衣料品に依存した構成から、日用品・ドラッグストア・クリニック・体験型アミューズメントへと消費者の需要が急激に変化しました。デベロッパー側があえて既存テナントとの契約を満了させ、広大なフロアを区画統合して新たな大型集客テナントを誘致するケースも増えています。つまり、外見上の「閉店ラッシュ」は、商業施設の生命線を維持するための積極的な新陳代謝であり、計画的なリフレッシュ工事の一環なのです。