日本国内で「レモンハートが終売した」という情報が定着した背景には、グローバルなブランド所有権の変遷と原酒供給体制の変化という構造的要因が存在します。
取材データおよび酒類業界の変遷を辿ると、レモンハートはかつて英アライド・ドメック社などの大手コングロマリット傘下にあり、日本国内でも大手飲料メーカーによる正規輸入ルートが確立されていました。当時の実売価格は、標準的な40度ボトルの場合で定価2,000円〜2,500円前後、ハイプルーフの151でも3,500円〜4,000円程度という極めて日常的に親しみやすい価格帯でした。
しかし、2000年代後半から2010年代にかけて、ブランドの買収・売却が繰り返され、カナダの独立系企業や北米のボトラーズ企業へと権利が移譲されます。この過程で原酒を供給するガイアナのデメララ・ディスティラーズ社(DDL)との契約見直しやボトリング工場の変更が発生し、日本向けの正規輸入契約が途絶えることとなりました。
つまり、「地球上から製造が完全に消滅した」わけではなく、「日本向けの安定した正規供給網が喪失し、散発的な並行輸入に依存せざるを得なくなった」というのが市場から姿を消した決定的な真相です。