財務諸表を読み解く際、ネット上や初心者コミュニティで散見される典型的な3つの誤解を正しておきましょう。
誤解①「売上さえ伸びていれば営業利益は後からついてくる」
急成長中の企業であっても、売上の伸び以上に販管費(営業インセンティブや無駄な本部経費)が野放図に膨張している場合、規模が拡大するほど赤字体質が固定化します。「増収減益」に陥っている企業は、コストコントロール力を失っているリスクがあります。
誤解②「営業利益が赤字なら即刻危険な倒産予備軍である」
営業赤字であっても、潤沢な手元資金(キャッシュ)を保有しているか、減価償却費などの非資金費用が多くキャッシュフローがプラスであれば、即座に倒産することはありません。損益計算書の利益と手元の資金繰り(キャッシュフロー計算書)は別物であることを理解する必要があります。
誤解③「経常利益が高いから本業も安泰である」
過去の投資有価証券の売却や円安による為替差益(営業外収益)で経常利益が膨らんでいる企業があります。しかし、これらは一過性の外部要因に左右されやすく、本業の営業利益が縮小していれば、市場環境が反転した瞬間に業績が一気に暗転します。
【プロの結論】財務諸表から企業の健康状態を見極める判断基準
投資家やビジネスパーソン、転職希望者が企業の決算書を見極める際は、以下のチェックリストを基準に判断することをおすすめします。
【高く評価できる健全企業の条件】
- 過去3〜5期にわたり、増収に伴って営業利益が安定的に増加(増収増益)している。
- 同業他社の平均を上回る営業利益率を維持し、販管費比率が適正に管理されている。
- 本業のキャッシュ創出力を示す「営業活動によるキャッシュフロー」が営業利益と連動してプラスである。
【注意・警戒すべき企業の条件】
- 売上は横ばいまたは微増だが、営業利益が年々右肩下がりに縮小している。
- 本業の営業利益は赤字であるにもかかわらず、資産売却や為替差益で最終利益だけを取り繕っている。
- 先行投資を理由に営業赤字を続けているが、顧客獲得単価(CAC)の上昇が止まらずユニットエコノミクスが崩壊している。