そもそも、人間の体液が食事ごときで容易にアルカリ性や酸性に傾くとしたら、人類はとうの昔に絶滅している。人体には、生命を維持するために内部環境を極めて厳密な一定範囲に保つ仕組み、すなわちホメオスタシス (恒常性維持機構)が備わっている。
動脈血のpHは、常に「7.35〜7.45」という極めて狭い弱アルカリ性のレンジに固定されている。この驚異的な酸塩基平衡 (酸塩基バランス)を維持するため、肺と腎臓が24時間体制でフル稼働しているのだ。食事によって生じた過剰な酸は、肺から二酸化炭素として数秒単位で呼気へ吐き出され、腎臓からは数時間から数日かけて尿中に排泄される。酸性食品を食べた後に尿のpHが酸性に傾くのは、体が酸性に侵されている証拠ではない。むしろ、体内を弱アルカリ性に保つために余剰な酸を捨て去った、精密な排泄機能が完璧に作動している証拠なのだ。