佐藤二朗の名を全国区に押し上げたのは、間違いなく福田雄一監督が手掛けた一連のコメディドラマだろう。予測不能な間合い、吹き出しを誘う長台詞、画面の空気を一変させる圧倒的な脱力感。長年、福田組の絶対的支柱として芸能界で唯一無二のポジションを築き上げた。
しかし、彼の真価は笑いだけに留まらない。映画『さがす』で魅せた、狂気と哀愁が交錯する圧倒的な芝居は記憶に新しい。娘を必死に探す父親の歪んだ表情、社会の周縁で喘ぐ人間の生々しい吐息。本格サスペンス映画の主演として放ったあの異様な凄みは、彼が単なる喜劇役者ではないことを世界に知らしめた。