番組史上で「神回」と呼ばれるエピソードには、息をのむような運命のいたずらが刻まれている。深夜の渋谷で出会った若者が語った亡き恋人への消えない想い、かつて昭和の銀幕を彩った元映画監督の孤独な晩年、あるいは絶縁状態だった家族との突然の再会。どれもフィクションの脚本家ですら思いつかないほど劇的だ。
取材の裏側では、ディレクターたちが何時間も寒空の下で立ち尽くし、断られ続ける過酷なロケが行われている。警戒心を解き、初対面のカメラに心を開いてもらうための技術は、もはや卓越したインタビュー取材そのものだ。終電を逃したという無防備な状況だからこそ、人はふと心の鎧を脱ぎ捨ててしまうのかもしれない。