不動明王(ふどうみょうおう)は、サンスクリット語で「アチャラナータ(動かない守護者)」を意味する密教の尊格です。仏教の世界には如来・菩薩・明王・天部という4つの階層が存在しますが、その中でも明王グループのリーダー格であり、五大明王の中心に位置するのが不動明王です。
密教における仏像の見分け方として、穏やかな表情で悟りを開いた姿の「如来」や装飾品を身につけた「菩薩」に対し、明王は激しい怒りの姿(忿怒相)で表現される点が決定的な特徴です。不動明王の正体は、宇宙の真理そのものを象徴する密教の最高仏である大日如来の化身(教令輪身)にほかなりません。優しく説法しても教えに従わない頑なな衆生に対し、力づくでも悪道を断ち切らせ、正しい道へと導くためにあえて恐ろしい姿へと変身した存在なのです。